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2009年12月29日 (火)

派遣法の規制強化―単純に強化するだけで良いのか―

リンク: NIKKEI NET(日経ネット):主要ニュース-各分野の重要ニュースを掲載.

厚生労働省の労働政策審議会が、製造業への派遣と登録型派遣の原則禁止をうたった労働者派遣法の改正についての答申をだした。事実上の方針転換である。

昨年後半の経済の失速により、非正規雇用者が大量に職と家を失い、大きな社会問題になった。昨年、大きな話題になった年越し派遣村が、今年は全国規模で行なわれ、昨日から、東京都の派遣村が開始している。(このブログでも紹介している通りである。)

それまでのアメリカ経済のバブル時代では、労働者派遣を原則自由化する方向で動いていた。それが、今回は全く逆に振り子が振れた形になる。

ヨエルは何度か書いているが、単純に法的に原則禁止とするのは問題だと思っている。別に企業の肩を持つつもりはないが、特に製造業は日本で事業を進めていくのにあたり、派遣従業員はなくてはならない労働者であることは明白だからだ。ひとりの正規従業員を雇うコストで、派遣の日本人は2人、外国人なら3人雇える。でも、今、製造業がコストで戦っている中国は、10人、20人を雇うことが可能なのである。

とりわけ製造業が派遣を活用したがるのは、労働基準法に定められている正規従業員の解雇権の乱用防止の規定があるからである。つまり、派遣法改正という単純なことでこの問題が解決するわけではない。正規従業員の働き方も含めた全体的な考え方がなければ、何も意味を成さない。むしろ、この法改正は、単純に失業者を増やすことに繋がりかねないのである。ワーキングプアが本当のプアになるわけだ。そのことについての議論は全くない。

派遣村の惨状をお茶の間で見られるこの時代、一旦、地に落ちると這い上がることができない。

  1. 住む家を失えば、失業保険や生活保護などの制度を活用できない。
  2. 連絡先が携帯電話のみになり、携帯電話が使えなくなれば、連絡を取ることも不可能になる。
  3. 携帯電話がなくなれば、行政がどんなに手厚い対策を採ろうとしても、その情報が伝わる手段がなくなる。
  4. 身なりが自然とだらしなく、汚くなり、就職が困難になる。
  5. 周囲の扱いが冷たく、酷くなり、現状に失望する。やけになる。

残念なことに、這い上がるための職業訓練や一時避難施設をこの国は提供できないのである。世界第二位の経済大国と自負していながら・・・・・。

ヨエルはブログで何度も、語りかけている。

あなたは社会のごみではありません。重要なかけがえのないひとりの人間です。あなたと同じように、今の現状に怒りを覚えている人はたくさんいます。あなたはひとりではないのです。

これを読んでくれるのかは分からない。でも、少しでも前向きに生きてほしい。少なくても、考え祈っている人がいることだけを知ってほしいという願いを込めて書いているつもりだ。

「じゃあ、おまえは偉そうなことを言うけど、何かできるのか?」と問う人がいるだろう。仕事で都内に出ればホームレスの人が駅で寝ているし、職場に行けば今日も派遣の人が解雇されている姿を目にする。それらについて、ヨエルは何もできないし、何もしてやれない。

事業部長からセクハラを受け、「助けてほしい」と泣いて訴えてきたオペレータもかつていた。当時の直属の上司は理解のある人で、ヨエルが話をしたところ、上司自ら、事業部長に直談判して「これでまたやったら、企業倫理委員会に訴えますからね」と釘を刺してくれたため、事なきを得たが・・・・。それは全くの例外的な存在で、今の上司なら、「証拠がないから無理だよ」と言って、握りつぶされるのが関の山である。

そのような現状を見てきて、ヨエル自身、何もできないことに不甲斐なさを誰よりも感じている。更に苦しめるのが、聖書はもっと厳しいことを書いているからである。

あなたの兄弟のひとりが、もし貧しかったら、その貧しい兄弟に対して、あなたの心を閉じてはならない。また手を閉じてはならない。進んであなたの手を彼に開き、その必要としているものを十分に貸し与えなければならない。(中略)必ず彼に与えなさい。また、与えるとき、心に未練を持ってはならない。このことのために、あなたの神、主は、あなたのすべての働きと手のわざを祝福してくださる。貧しい者が国のうちから絶えることはないであろうから、私はあなたに命じて言う、「国のうちにいるあなたの兄弟の悩んでいる者と貧しい者に、必ずあなたは手を開かなければならない。」(申命記15:7-11)

ヨエル自身、できることは本当に僅かである。派遣村に来ている人たちを助けることなど大それたことはできない。精々、身近にいる派遣の人たちの声を聞き、職場の改善に努めていく以外何もない。

派遣法の規制強化をすることは簡単だ。しかしながら、問題は、規制強化をすればすべてが片付くと言うほどの単純なものではないことは知っておくべきだと思う。

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